夢の言葉と約束の翼(上)【夢の言葉続編⑤】

良い子でいなきゃ。

だって私は、先生と奥さん……。
二人の本当の娘じゃないんだもん。

二人共大好きなのに、優しくされればされる程に、物心ついた時から心の距離を感じていた。


お花のように、可愛い女の子になるの。

それが、亡くなったリディア母さんの願い。
私を産んでくれた本当の母。

話したい事、たくさんあるのに……。
私の問い掛けは、独り言でしかない。


美しい心で、幸せを願うわ。

今を生きる、ヴァロンさんの幸せを。
例えそれが、傍に居る事が出来なくても。

でも、もっと甘えたい。
本当は、私だけを見てほしいと願ってた。


……。
言えない想いは、全て封印するの。


寂しいーー。

誰にも言えない。
言っちゃいけない。

時を重ねる毎に、人に頼る事も甘える事も出来なくなっていく。


一人でなんとかするの。
今までも、これからも……。

でも、本当はいつも誰かに手を差し伸べてほしいと願ってた。
強がるのは疲れるもの……。

……
…………。
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