赤い華
いつものことだったし、お父さんとお母さんがいなくても別にどうってことなかった。
お風呂に入り、自分の部屋に入った時だった。
「サユリ、」
『何?』
するとお兄ちゃんはこっちだと手招きをし、自ら自分の部屋に私を招き入れたのだ。
お兄ちゃんの机の上や本棚には沢山の参考書があった。おそらく大学受験のためだろう。
『夏休みなのに偉いね、お兄ちゃん。』
「………。」
『明日も学校行くの?』
「………。」
『サユリなんて夏休みの宿題全然終わってないし。』
「………。」