悪魔の囁きは溺愛の始まり
「花ちゃんは蒼大とだろ?」

「えっ?」

「彼氏。」

「えっ、あっ、はい。」


春馬さんに懐かしい名前で呼ばれた。

って事は私を覚えてる?

チラリと春馬さんを見上げれば、ニヤニヤと私を見下ろしていた。


「こっちで。ごめんね?オフィスの俺の席で説明させて。」

「あっ、はい。」

「花ちゃん、堅いよ。俺と花ちゃんの仲でしょ。」


何の仲だ。

ハワイ以来、全く話もしていないのに‥…相変わらず軽そうな人だ。

春馬さんとマリン本社のオフィスに入っていく。

何故だか注目されている気がする。


「花ちゃん、変わらず美人だね。」

「えっ?」

「見られてるよ。」

「…………。」


目立つほどの美人ではない。

女子社員の視線が特に気になる。


「花ちゃん、マリン本社での噂を知ってる?」

「噂?」

「あの岡崎部長に女がいるって噂。」

「………。」


私だと知られてる筈はない。
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