悪魔の囁きは溺愛の始まり

なんか凄い事を言われてる気がする。



「あっ、一花、言い忘れ。」


「へっ？」


「お父さんには許可は貰ってる。」


「何の？」



ニヤリと口角を上げて微笑んだ蒼大さんに眉間の皺が寄っていく。


怪訝な私の表情に笑みを深めていく蒼大さん。



「同棲の許可。」


「はっ？」



驚きに固まった。


同棲って聞こえたんだけど？



「この先、結婚前に一緒に棲む許可を頂けませんか？」


「………聞いたの？」


「聞いたら大丈夫だった。」


「………。」


「俺、御曹司だから。」



蒼大さんは自分の家柄も人当たりの良さも自覚している。


それを上手に利用して、私を逃がさない手立てを企んでいる。


私は罠に落ちている。



「一花、同棲だな。」


「嬉しそうね？」


「ああ、勿論。」



ニヤニヤな蒼大さんをじっと見つめていれば、料理が運ばれてきた。



「一花、奢ってやる。」


「………。」



余裕な蒼大さんに負けじと微笑んで見せた。



「御曹司なんだから当たり前でしょ。ご馳走になります、蒼大さん。」



嫌みを込めて吐き出した言葉に、蒼大さんがニヤリとして見せた。