悪魔の囁きは溺愛の始まり
蒼大さんの車まで見送る為、手を繋いでガレージに向かった。


「次の会議は明後日?」

「うん、金曜。」

「明日は来れない。金曜は俺の部屋に………。」

「週末も仕事かも。金曜次第だけど。」


蒼大さんの言葉を遮れば、盛大な溜め息を吐かれてしまった。

心配で見上げれば、蒼大さんも私を見下ろしていた。


「一花、早く片付けろ。」

「あっ、うん。」

「一花不足だ。」

「結構、蒼大さんと会ってるよ?」


首を傾げれば、肩に手を置かれ、蒼大さんの顔が近づいてきた。

耳元に口を寄せた蒼大さんが囁いた。


「朝まで一緒にいたい。」

「えっ?」

「最近、朝まで一緒にいないだろ。もっと一緒にいたい。」


甘い囁きが耳元で聞こえる。


「一花が好き過ぎて困ってる。」


離れていく蒼大さんの顔を見上げた。


「一花は?」

「えっ?」

「一花は?」


蒼大さんがニヤリとした。
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