悪魔の囁きは溺愛の始まり
「青山が幸せならいい。」

「渡部さん………。」

「相手は岡崎部長だし、元々勝ち目なんてなかったんだ。」


二人で会社への道のりを歩く。

春になれば、私と渡部さんは別々のプロジェクトになってしまう。

こうやって言い合う相手が居なくなるのは寂しい。


「青山、幸せになれ。」

「はい、渡部さんも。」

「ああ。違うプロジェクトでも頑張れ。それまでは俺の下でガンガン働いてもらうけど。」

「ふふっ、はい。」


こうやって会社に行く事も懐かしむようになるのだろうか。

すっかり寒い季節へと変わってしまった街並みの中を出社した。


「っで、岡崎部長と楽しめたのか?」

「えっ?」

「ハワイに行くって言ってただろ。」

「あっ、はい。」


思い出すとニヤけてしまいそうだ。

『結婚しよう』

まさかプロポーズされるなんて、思ってもみなかった。

次の日、蒼大は私を教会に連れていき、更に驚かされた。
< 191 / 200 >

この作品をシェア

pagetop