悪魔の囁きは溺愛の始まり
「わかった。ホテルでメモする。」

「花、ありがとう。」


笑みを浮かべる蒼大さんに胸が痛い。

私は嘘を教えるんだから。

東京でしか繋がらない携帯は今は確かめようがない。

二人で部屋へと入り、早速、メモする番号をじっと蒼大さんが見つめている。


「少し飲むか?」

「うん。」


用意されていたお酒。

私と飲むために買ってきたのだろうか。

あまり飲みすぎない程度に飲んでいく。


「花、就職はデザイン会社?」

「インテリアの会社でデザイナー目指してる。蒼大さんは?」

「俺は祖父の会社で修行中。」

「へぇ~、お坊っちゃんぽいもんね。」

「何か買ってやろうか?」

「いらない。別に欲しいものないし。」

「ふ~ん。でも…………いや、何でもない。」


歯切れの悪い蒼大さんに首を傾げたが、話は終わりのようだ。

私はアルコールも入り、眠気が襲い始めていた。


「花、眠い?」

「うん、ごめん、眠い。」

「酒を飲むと寝るタイプか。可愛いな。」


クスクスと笑いながら私をベッドへと誘導する。フカフカのベッドに蹲るように寝転ぶ。
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