闇にのまれた光
眠り
『クロ。家族の事なんだが……』
クロ「あぁ……」
『家族が殺された犯人は生きているとの情報が入ったのはお前も知っているか?』

クロ「……はい。」
『その犯人に、私は復讐しようと思っている。家族の分の罰を。
生きている奴への復讐を。
私は、しようと思っている。』

クロ「それは貴方様の家族は望んでおられないと察するのですがな。」
『私の家族は優しい。優しすぎる。だが私は許さない。……許せない。家族を奪ったあいつを。そして自分自身も。』

クロ「光の世界へ行かないのは、その事が関係しているのですな?」
『あぁ。自分への刑罰と、そして、あいつを殺すための訓練を。』

クロ「あの方は……とても哀れなお方でしたな……。」

『……あぁ。』
クロ「月羽様のせいではないのですよ。」

『いいや。私があいつを受け入れてしまったから、あいつは暴走した。少なくとも私のせいでもある。』

クロ「それは、あの方の極度の愛で、貴方様は何も間違ってはおられない。」

『いいや。あの夜、私は選択を間違えた。あの夜選択を間違えなければ、私は家族を殺される事は……無かった。


だからこそ、私はあいつへの罰を下す。この事はパートナー達には言わないでもらいたい。お前を信頼しての事だ。』

クロ「もったいなきお言葉ですな……。ですが本当に月羽様が生きていらっしゃってよかった。……今まで存在を隠していたのですかな?」

『あぁ。お前達にも分からないように、私自身へ結界をはった。クロ、お前には教えておけばよかったかもしれないな。あの時は、私には余裕がなかった。……せめてものいいわけだがな。』

クロ「いやいや……何かの運命で貴方様に導かれたのですぞ。
何も気に病むことはありませぬ。」

クロは本当に忠誠を誓ってくれている。
『クロ、呼び止めてすまなかった。』

クロ「月羽様、どうか、気をお沈めくださいませ。貴方様の前から我らは居なくなりません。もう、消えることはありませんから。」

『……あぁ。信頼しているぞ、クロ。』
クロ「では、私もおいとますると致しましょうか。また明日。
良い夢を。」

『クロ……っ……なんでもない。』
クロ「月羽様、お隣に居ますよ。眠れない夜もあるでしょうから。付き添いとして。」

『…………すまない。』

眠りにつくと、私は1人、暗闇に立っていた。
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