失恋の傷には媚薬を


亮平さんはその時のことを
思い出したようで少しずつ話し出した


「男の顔は見たことがあったな、barで何度か顔を見たことがある…多分、いつも一人だった気がする。名前、なんて言ったかな?」


思い出そうにも思い出せないらしい


『そのあとお姉ちゃんとその男の人はどうしたの?帰ったの?』


「いや、また座って飲んでた。飲んでたっ言うか二人で話し込んでた。ちょっと泣いてたかも」


多分、酒が入って感情が抑えきれなかったんだろうな、と亮平さんは言う
何を話していたのかはわからないという
そのあと、亮平さんは少し飲んで帰ったという


亮平さんの話を聞いて納得した部分もあるが
私が聞きたいのはこれじゃない

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