Marriage Knot
「はい」

「留学していた時に、イギリス北部で出会ったケーキがあります。シンギング・ヒニーという焼き菓子です。これは、一昔前の子供たちが好んで食べたものらしくて、面白い言い伝えがありました。ケーキの中に、ボタン、シンブル、硬貨を焼きこんでおいて、子供たちの将来を占うんです。まあ、フランスのフェーヴに似ていますね。……ケーキの中からシンブルを見つけた女の子の未来はどうなると思いますか?」

「うーん……。お裁縫が上手になる、とか?」

「惜しいですね。でも、僕がシンブルを編み上げたら、教えてあげますよ」

桐哉さんと私は、目を見合わせてくすっと笑った。これで、また楽しみができた。桐哉さんは、私にささやかな希望をくれた。私も、いつか桐哉さんにわくわくするような素敵な思いをプレゼントしたい。
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