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月夢がぼぉ~と黄昏ている間に 志木は手早く料理をする。

月夢がリビングに来た時には 用意はほぼ終わっていて…

「志木君すごいね。私の回りの男の人は みんな格好よくて料理が出来るんだよね…」

「///それ、俺もメンバー入りしてる?」

「うん、お兄ちゃんに翔君に志木君。みんな…イケメンだよ…。」

「///朝倉に言われるのが こんなに嬉しいとか、俺マジヤバイな…」

「志木君 誉められ下手なの?」

「///違うし…出来たから食べようか?」

テーブルの上には…チキンのトマト煮込みに
チーズオムレツ、シーザーサラダ、フランスパン、ワインが並べられている。私はトマト煮込みは大好きだから すごく嬉しい。

「///志木君 お嫁さんに来てもいい?」

と思わず言っちゃった。

「え?食べる前から胃袋掴むとか…朝倉流石だよ…反対にお嫁さんに来てくれるの?///」

「だって…私が大好きなチキンのトマト煮込みがあるんだよ…」

「朝倉、これ好きなんだ…俺も好物だから嬉しいよ。席に座って食べようよ?」

志木君の手料理は 店レベルで、学生の頃に イタリアンの店でキッチンのバイトをして覚えたらしい。

私もキッチンのバイトをしていれば、今頃作れる様になっていたかどうかは 疑問だけど…志木君の料理は 本当に美味しかった。

「また 食べに来てもいい?」

と聞けば ワインで酔ったのか 赤い顔で

「いつでも来ていいよ。お嫁さんに来るのなら、毎日作ってあげるけど、どう?」

と聞かれ 心が揺れた。
やっぱりお嫁さんは無理だから…

だって 私が好きなのは…翔君。さっきも鳴っていた携帯を横目に 黙ってしまった私。

「やっぱりお嫁さんには来れないよ。だって私には翔君がいるから…」

「そうだよな、彼氏いるもんな朝倉は…」

「お友達として また招待してくれる?」

「///ああ、また作ってあげるよ…可愛いお願いだからね…それより、そんなに気になるなら電話出たら?」

「う~ん。今ね本当に志木君以外とは 気不味い人ばかりなんだ…彼ともちょっと…」

「あ~、お兄さんも彼も モヤモヤしているのに、本人はこんなだし…きっといつもこんな感じで大変だろうな。振り回される身になったら…」

「志木君、やっぱり私家に帰るよ。お兄ちゃん心配させたら、何するかわからなくなるから…」

「そっか、ちょっと残念だけど 俺の為にも帰るのがベストだよね。俺車あるから家に送るよ。朝倉直ぐに帰る準備してね。」

「志木君ありがとう。こんなに優しくて料理も上手で格好いい彼いないよ。志木君モテるから、直ぐに彼女出来るよね。」

「///朝倉…早く帰るよ。ねぇ 彼女が早く出来るおまじないしてくれない?」

「おまじないって?」

「ほっぺにチュッだよ…知らないの?」

「知らないよ。だけど彼女が出来るんだよね…」

「///ああ…多分。」

私は志木君に抱きつき 頬にチュッとキスをする。

「おまじない効くといいね…」

「…マジか///。これ絶対効くよ…」

志木君はフラフラしながら 車のキーを取って来て 玄関に行く。

「///さあ行こうか?」

腕を引っ張られて駐車場に行く。

「志木君、私今からお兄ちゃんと話し合うからね。今日はありがとう。」

マイペースで話す月夢は志木を放置し、今から起こる ややこしい関係の中に 自ら入って行く事になるのに やっぱり天然はのんきであった…





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