* switch *
翔君のマンションに着いた。スペアキーを持っているので、翔君の家には難なく入れる。

「月夢 お前スペアキーも持っているのか…」

お兄ちゃんは ちょっと悲しい顔を一瞬した。

そういえば あの事があった以来 お兄ちゃんと二人きりは初めてだ。

「月夢ごめんな。俺出来るだけ お前の兄ちゃんらしくする。だから避けるとか やめてくれないか?」

「もう薬使ったり、無理な事しない?」

「ああ しないよ。怖がらせてごめん…。」

お兄ちゃんが私を優しく抱き締める。本当は少し怖い。

だけど、お兄ちゃんが震えた手で私を抱きしめていて、その手を振り払う事は 私には出来なかった。


~♪~♪
お兄ちゃんの携帯が鳴っている。

「もしもし、翔か?ああ、今翔ん家に月夢といる。そうだよ、お前に任せた。いいか?…わかった…。」

翔君と話し終えたお兄ちゃん。

「翔がこっちに向かってるって。俺翔が帰って来たら帰るな。

暫く落ち着くまで、ここで世話になって 俺がOK出すまで帰って来るな。わかった?」

「お兄ちゃん、今日は来てくれてありがと。

それと私を助け出してくれたのがお兄ちゃんで私は嬉しかったよ。

お兄ちゃんは世界一大好きな 私の自慢のお兄ちゃんだからね。」

月夢はお兄ちゃんの両頬にチュッチュッとキスをする。

「お兄ちゃんに 早く大好きな彼女が出来ますように…。」

可愛い月夢に止めを刺され 唖然としながらも、結弦はコクンと頷くしかなかった。



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