【短編】甘えないで、千晶くん!




「黒木さん、大丈夫?」



「え?」




「元気なさそうだけど、なにかあった?」





お昼休み。




佐藤くんと一緒に中庭でお弁当を広げていた私。




「ううん。ちょっとボーッとしてただけ!ごめんね」



笑顔を貼り付けて卵焼きを口に放り込んだけど、今日はなんでかあんまり美味しくない。




大好きなお母さんの卵焼き。



味付けはいつも通りのはずなのにな。




「それならよかった。じゃあ、早速デートのお誘いしてもいいかな?」




差し出されたのは、2枚のチケット。





「親戚からもらってさ。アクション映画なんだけど、もし良かったら」




「あ、これ、今CMでめっちゃやってるやつ?」




「そうそう!」





前に千晶くんが観たがってたやつじゃん。



いつの間に公開してたんだろ。





……って、何でここで千晶くんが出てくるの。




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