『来年の今日、同じ時間に、この場所で』
キャンプファイヤーが始まると
その炎が日常とはかけ離れてるせいか…
無性に人恋しさを感じた。




「真凛!この曲‼︎アレじゃない?踊ろ」
未来に連れられて輪の中に入った。

当然の如く、ベンは踊って騒ぐようなタイプではないから

炎を囲む輪の中にはいなくて…
少し離れたベンチに祐介達と座っていた。

「どうしたの?真凛らしくないじゃん。」
千秋にそう言われて作り笑いをした。

なんか恥ずかしいな…
ベンに見られたくないな。

炎を回りながら後ろが気になって仕方なかった。



次のステップでベンの前になる…。
横目でベンに気付かれないように目を送った



…スミレちゃん!?…


ベンが見てると思ったのに
自意識過剰で恥ずかしくなった。

私を見てるどころか
隣のクラスのスミレちゃんと話してた。

今までスミレちゃんと話してるところなんて一度もなかったのに…なんで?


…足が止まった。


「真凛どうしたの?」


やだ。
ほんっと恥ずかしい。



千秋が呼び止めたのはわかってたけど
恥ずかしさでその場から逃げ出した。


「真凛!」



ごめん、千秋!
私ここに居たくない‼︎




っう!
誰かに背中から服を引っ張られた。

苦しっ!


…なにっ?

振り返ると、私の服を握っているベンが立っていた。


「なっ!ちょっと!離してよ。」

っつーか、呼び止めるんなら
もうちょっと優しくというか…
やり方あんじゃん!苦しいっつーの!


「どうした?」て、いつものトーンで聞いてくるけど、私はベンが掴む服を指差した。

「あ。ああ。悪ィ。」
パッと手を離したベンは照れ臭そうにその手を後ろに隠した。


な、なによ。照れちゃって…

もしかして私に気付いて追いかけて来てくれたの?


沈黙が続いた。


「黙ってねぇーで!…さ。」

どうしよう。なんて答えればいい?
えっと…


「と…トイレ!」

あゝもう。
なんでこういうこと言っちゃうかなぁ〜。

「ぶっ…‼︎」


…あ。笑った。


「おまえさー、女だろ?走ってトイレとか行くなよな。」
屈託のない笑顔。

やっぱりその笑顔が私は好き。

「早く行けよ!」
「う。うん!」



『女だろ』だって…
少しは女扱いしてくれてたんだ。

ちょっと、嬉しい。








< 12 / 59 >

この作品をシェア

pagetop