『来年の今日、同じ時間に、この場所で』
『真凛ちゃん、一緒に帰ろう』

小学校の時
1度だけクラスが同じになったことがあった
須藤愛ちゃんから話しかけてくれた


同じ出身校だからといって
特別仲良くしていなかったから
中学校で同じクラスになったからって
今更仲良さげに話しかけるとか思われたら
少し恥ずかしいな…

なんて思って気が引けてた
こんな私には
愛ちゃんは天使のように見えた


そんな愛ちゃんの勇気ある行動に
助けられた私は
1人じゃない安心感で少し浮かれていた




下駄箱まで来て
肝心なカバンがない事に気付かされる


「ごめん、愛ちゃん
教室にカバン忘れて来た〜」



『気付かなくてごめんね
じゃあ 門の所で待ってるね』





愛ちゃん
気付かなくてごめんね
だって


浮かれてたの私なのに


良い子だな〜







3階の教室に戻ると

まだクラスメイトが数人残っていて
新たな友達作りに励んでいた。




そうだよな〜
愛ちゃんのおかげで1人じゃない!
なんて思ってたけど

いずれは新しく友達作らないと
楽しく学校生活送れないじゃんね。





好きなスポーツの話や
ゲームの話
部活の話で盛り上がる子達を横目に
教室の奥のロッカーへ小走りした。




ちょうど私のロッカーの前を塞ぐように
男子5人が机同士を繋げて話していた



コレは話しのキッカケを作るチャンスか


少し鼓動が早くなるが
勇気を出して顔をあげた




「あの…
ロッカーからカバンをとりたいんだけど」



最初にこちらを見たのは
前田くんだった





そして
すぐさま無言で
また男子の方に顔を向けた









なに今の…



聞こえてたよね


聞いてたよね




男子達と話し始めた前田くんを見て
もしかしたら
自分の声が小さかったかもしれない
と 思い直した





「カバンとりたいから
少しズレてくれる?」









沈黙







いや沈黙というか
こちらを見ることすらしない






これはいったい…何ですか



少しの勇気をもって話しかけたはずが
少しの苛立ちに変わっていた




「ねーちょっと!
カバンとれないからどいてくれるかな」



今度こそ絶対聞こえたはず!




少し張り上げた声に
男子全員の会話が止まった





「うるせっ…」









綺麗な横顔の前田くんの周りに
私の目には見えたはずでいたキラキラが
音を立てて崩れ落ちていった








いま
うるせーって
言いましたよね?






めっちゃイケメンなくせに
めっちゃ性格悪いじゃん



しかも
明日も隣の席じゃん




入学早々
超最悪なんですけどーーーーー









これが
私の中学校 入学1日目の想い出…



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