ブーケ・リハーサル
「どういうことかしら?」
「この瓶から鳴る音、ビンの透き通った水色。目からも、耳からも涼しさを感じるんです。そうすることで、肌で感じる暑さを減らします」
奥様は瓶をもう一度揺らし、瓶を光にかざした。
「確かに涼しいわ。なんだか少しだけ夏嫌いがなくなったかも」
「本当ですか? 他にも目で見て涼しいものっていっぱいあるんですよ。和菓子とか、食器とか。奥様は和菓子お好きですか?」
「その奥様って呼び方はやめて。堅苦しいわ。エリーズと呼んで」
「はい、エリーズさん。私のことも由梨と呼んでください」
「ユリ。確か日本名で同じ名前の花があったわよね」
「百合ですよ」
「そう百合。私の好きな花よ」
ポケットの中で会社携帯が震えだした。二週間前に来た会社携帯は二つ折りのガラケーだ。
「失礼します」と奥様に断りを入れて、電話に出た。
「もしもし」
「そろそろ話しが終わりそうです。戻ってきてください」と、田中さんが小声で言う。
「分かりました」
電話を切り、奥様のほうを向いた。
「そろそろ中に戻りましょうか」
「そうね」
飲み終わった瓶を二本回収し、庭園を通ってお座敷へと向かった。
「この瓶から鳴る音、ビンの透き通った水色。目からも、耳からも涼しさを感じるんです。そうすることで、肌で感じる暑さを減らします」
奥様は瓶をもう一度揺らし、瓶を光にかざした。
「確かに涼しいわ。なんだか少しだけ夏嫌いがなくなったかも」
「本当ですか? 他にも目で見て涼しいものっていっぱいあるんですよ。和菓子とか、食器とか。奥様は和菓子お好きですか?」
「その奥様って呼び方はやめて。堅苦しいわ。エリーズと呼んで」
「はい、エリーズさん。私のことも由梨と呼んでください」
「ユリ。確か日本名で同じ名前の花があったわよね」
「百合ですよ」
「そう百合。私の好きな花よ」
ポケットの中で会社携帯が震えだした。二週間前に来た会社携帯は二つ折りのガラケーだ。
「失礼します」と奥様に断りを入れて、電話に出た。
「もしもし」
「そろそろ話しが終わりそうです。戻ってきてください」と、田中さんが小声で言う。
「分かりました」
電話を切り、奥様のほうを向いた。
「そろそろ中に戻りましょうか」
「そうね」
飲み終わった瓶を二本回収し、庭園を通ってお座敷へと向かった。