ブーケ・リハーサル
かなり濃いワインレッドのため、それほど派手な印象にもならない。そして、そのドレスに着替えた。そして置かれていた黒いハイヒールを履いて、フィッティングルームを出た。

 ドアを開けると副社長はすぐ近くに立っていた。

「どうかな?」
「こっちもいいな。迷うな。ベージュもいいし」
「由梨ちゃんはどっちが好き?」
「落ち着いて着ていられるのはワインレッドかな」
「そうか。どっちも似合っているし、由梨ちゃんが好きなほうがいいよね。今着ているのにしよう。由梨ちゃん、こっちに来て」

 副社長と一緒に中央にあるガラステーブルへと向かった。そこにはアクセサリーとパーティーバッグが並べられている。

「由梨ちゃんが着替えている間に俺が選んだ。バッグはビーズやラインストーンが付いていないシンプルなのがいいかな。これ持って」

 渡されたバッグを持つ。靴がシンプルなハイヒールのため、よく似合っていた。

「アクセサリーはゴールドよりシルバーかな。パールもいいけど、シルバーだね」

 私の首元にパールのネックレスとシルバーのネックレスを当てながら言った。

 この前観たナイト・フレーバーと同じような光景だ。あの主人公はこんな世界を見ていたんだ。これじゃあ、うっとりした顔をするなと思った。恋人同士なら、尚更だ。

「後ろ向いて、髪上げてくれる?」
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