ずっと前にね
膝の上をテーブルの淵にぶつけ、少し伸びていた足の爪が畳を強く擦った。ガタッという物音に健たちも驚くわ、俺はダブルで痛いわ。なのに、本当に疲れていたのか千里が起きる事はなかった。

「なんだ。夢、寝てんのか」

布団を敷き、布団で寝るよう起こすけれど少し反応するだけで起きる事はない。俺はお姫様抱っこをして千里を布団に寝かせてあげた。もちろん、この時の俺の心臓は爆発寸前。頭の血管まで波打ってガンガン響いていた。
寝静まった暗闇に俺たち5人、少し離れた所に千里が一人。友人が俺だけ来ると思っていたため、一部屋しか用意していなかったんだ。幸い、広めの部屋であったから雑魚寝で済んだ。
皆、寝たのだろう。話し声が聞こえなくなった部屋で勝手にそう解釈した俺は自分も眠りにつこうと寝返りをうった。すると、そこにいたのは隼人の顔ではなく目を大きく開いて俺をガン見している四人の姿だった。
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