誠の華−ヒルガオ−
「っ、何しやがる!!」
永倉の刃を止めたのは総司だった。
「彼女には聞かなければならないことがある。だから、まだ殺さないでください」
「……チッ。総司、凛は任せた。数馬、雪!他の隊士達と縛り上げた忍び達を屯所まで連れて行け」
「「はっ」」
それぞれに指示を出すと永倉は一人、屯所と逆方向へ足を進んでいった。
「新八さん!どこへ行くのよ!!」
「頼むから今は一人にしてくれ!!!」
抑えきれない苛立ちを雪にぶつけると永倉は走り去った。
きっと新八さんには私達には分からない事情がある。
今はそっとしておくべきか。
他の者達もそう思ったのか、それぞれが割り振られた仕事をこなし始めた。
「あ、忘れるところだった!裕次郎、手伝ってくれてありがとうね!忍び達は全員捕まえたけど夜は危ないから気をつけて帰ってね。それじゃあ!」
「あ、ちょ!」
一方的に話して去ってしまった雪に伸ばした手は頼りなく下に降ろされた。