誠の華−ヒルガオ−
“凛が逃げた”
私達が捕らえた日に既に半分以上の忍びが舌を噛みちぎって自害をしていた。
それから土方は蔵の中と外に隊士達を見張りに付けた。
しかし交代をする時のほんの一瞬の隙を狙って凛達は隊士達を殺害すると屯所を逃げ出した。
「っ、その隊士達は…!凛が逃げ出したのはいつですか!!」
まだあまり時が経っていないなら隊士達を助けられる。
いつでも走り出せるように右膝を立てて土方に詰め寄るが、土方は目を閉じて首を横に振った。
つまり手遅れという事だ。
私の力では亡くなってから時が経っている者は助けられない。
力が抜けて座り込む。
助けられた命を私は助けられなかった。
「だからあの時に凛を斬っときゃ良かったんだ!!土方さんや総司が止めなければ隊士達は死なずに済んだんじゃねえのかよ!!!」