内実コンブリオ

業務も手ぶらになった俺は、パソコンと睨み合いをしている華ちゃんの背後から覗き込んだ。



「わからんとこは?」

「わあっ、大丈夫です!」

「めっちゃ驚くやん。今これ、何やっとんの?」



パソコンの画面上には、異様にカラフルなパワーポイントが映し出されていた。

そのセンスは、人並みより変わっていた。

そのセンスを持つ本人は、満足気な笑みを浮かべながら、体ごとこちらに振り向いた。



「来月、近所の大学からガイダンスの講師に呼ばれてるじゃないですか。それの映像資料です」

「あー、そんなんあったな」



す、素敵なセンスしとるけどもやな…

こういうのはシンプルなのを作るイメージやったけど、意外と大胆なんやな。

本当にいろんな意味で驚かされるわ。



「で、わからんとこは?」

「ありません!…い、今のところは」

「えー、何か頼ってぇや」

「すいません、かなり順調なので!」



華ちゃんは、珍しいくらいに微笑んだ。

とても生き生きしていた。

独特なセンスやな、と気になっていたことが遂に口から出てしまうと、華ちゃんは「中学の時、美術部でしたから!」と勢いよく答えよった。

なるほど、この子はピカソ、そう思うしかなかった。
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