内実コンブリオ


『ほんじゃあ、またパワーポイントの打ち合わせしよか。あと半月やから、油断できやんしな』

「はい、お願いします」



まだ話していたい、とは思ったものの、あいにく先輩の気を引ける様な話題も、自分なんかでは思い付くことが出来ない。

先輩の会話を惜しみながら、電話を切った。

でも、自分も十分満足している様だった。

自分の頭はたった今、ふわふわしている。

電話を切る直前に、先輩の言った台詞。



『そんじゃあ、また明日。おやすみ』



これを甘く囁かれたら、それはそれはもう堪らない。

本人はきっと、そんなつもりも無いのかもしれない。

別の人に言われたところで、ただ別れの挨拶程度にしか思わないだろう。

しかし、相手が相手なだけに、胸が疼く。

べつに、そんな関係でもないはずなのに。

先輩の台詞をもう一度、頭の中で再生しては悶える。

しばらく、自分はそれを繰り返していた。

早く寝ないと明日起きれないぞ、自分。
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