内実コンブリオ
「あ、えっと…お、お疲れ様です…」
『ふはっ、何をそんなに緊張しとんの?』
角野先輩のプカプカと明るい声に、心が浮かばれる様な想いだった。
偶然、真っ黒なテレビの画面に映った自分の顔を見た。
ひどくにやけている、我ながら、これは気持ち悪い。
改めて、座布団の上に体育座りをし、我が上司と話す体勢を整える。
「何かご用でしたか?」
『あ、そうそう!華ちゃん、なんか、どっかの学校の説明会か何かの担当やったやんな?』
「はい、そうですけど」
『俺さ、それの補佐に付けって言われたんさ。よろしく!』
「え、あの…」
『あ、補佐っていう「見張り役」って言うんか!大丈夫。隣でパソコン、操作するだけやから』
「そんな…心強いです」
そっか、と言う電話口の先輩の声は、その声だけで微笑んでいるのが想像できた。
一つひとつの先輩の声はまるで、耳元で直接話されているかの様で、とてもくすぐったい。