内実コンブリオ
会話が一旦、そこで途切れると、栗山くんは腕を組み、先程までそれぞれが立っていた舞台を眺めていた。

何となく、自分はその横顔に見惚(と)れていた。



「しかし…」



不意に声を発した栗山くんに驚き、自分は慌てふためいた。



「すごいっすね。は……さ、咲宮さん」

「え」



栗山くんは、自分の名前を呼ぶのを少し躊躇した様に見えた。

それが堪らなく、淋しくなった。

いや、もしかしたら、自分の名前を今、思い出したのかも。

遠くを眺めていたはずの栗山くんの目線は、また近くに帰ってきていた。
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