内実コンブリオ
「ありますよ、ちゃんと。」
「え、ある?!どこらへんを計るんすか?」
「ここらへんじゃないですか…」
脈の位置を人差し指一本で、空中に円を描き示す。
何となく、顔を上げようとした。
しかし、それをやめる。
自分が思うよりも、栗山くんの顔が近距離にある様に感じたので、そのまま別の方向に顔を上げた。
上げた目線の先には、偶然にも角野先輩が立っていた。
本当に偶然だ。
先輩は、顔面全体を強張らせて、笑っている。
なんて顔をしているんですか、そう心の中で呟いた。
先輩はもう既に、いつでも帰れる準備をして、その場に立っている。
「あ、角野先輩。お話の方は、もう終わりましたか」
「うん。お待たせ、華ちゃん」
栗山くんは、角野先輩に気づき、反射的になのか、慌てて頭を下げる。