内実コンブリオ

そう考えると、この人は何一つ、変わっていない。

変わったのは、自分だ。

少し人間慣れした自分が、少し変わった。

昔に比べて、人に図々しくなった。

だからなのかもしれない。

この人に嫌われるのが、未だとても恐い。

しばらく、いや、ずっと躊躇っている自分に、栗山くんはチラッチラッと視線を送ってくる。



「失礼します…」



仕方なしに、栗山くんの手首に人差し指と中指をそっ、と添える。

余計な邪念を振り払って、心を無にする。

昔の、今の気まずさを、自身に悟らせない様にして。

…あ、栗山くんの脈拍が聞こえた。
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