内実コンブリオ
自分が遠慮がちな態度をとっていると、栗山くんが勢いづき言う。
「じゃ、じゃあ!俺からタメ口になるんで…とにかく!!敬語は禁止」
「そんな、難しい…」
「そういえば、なんて呼んだらいいかな」
「え…」
「名前。ほら、昔はフルネームで『咲宮 華さん』とか呼んでたんで…呼んでたから!」
栗山くんは「確かにタメ口って難し…」なんて呟いていた。
別にフルネームでも良いですよ、って言いたくなる。
栗山くんは頭をかきながら、自分から視線を外した。
「あの大学で会った時も、どうやって呼んだらいいのか、すごく迷った。
あそこでフルネーム呼びしたら、変かなって思って」
今さら、繋がった。
あれは、そういうことだったのか。
別に名前を呼ぶことに、躊躇したわけではなかったらしい。
そして、よかった。
忘れられていたわけでも、なかった。