内実コンブリオ
トン、コトとそれぞれの音を鳴らしながら、グラスを机の上に置く。
先程までの呼び方のくだりは、どうやらここで途切れたらしかった。
沈黙というものは、相手が誰であろうと気まずい。
まあ、口下手な自分からしてしまえば、会話が無くなって、場が静まるということは、よくあることではある。
けど、ここは頑張って、一歩踏み出してみることにする。
「「あのー」」
お互いにハッ、として言葉を止めた。
さらに、お互いが譲り合うポーズのままで止まり続ける。
「どうぞ、どうぞ」
栗山くんはそう言って勧めてくれるが、もともと何を話そうとしていたわけでもなかった。
むしろ、栗山くんが同時に会話を始めようとしてくれたことに、ホッ、と安心してしまっていた。
頑張ろうとはしたものの、やはり性格はいきなりには変わらない。
「ほら、話したいことがたくさんある、って言ってたでしょ」
「あの、えっと…話すこと忘れちゃいました」
「敬語禁止」
「ご、ごめん…」
「でも、なんか本当に変わったね」
「そんな…どこら辺が?」
思った疑問が、そのまま口から出た。
自分でも驚くほど、素直に。
ここで名前を出すのもなんだけど、角野先輩と話すときよりも、すんなりと言葉が出てくる。
他人様からは見てわからないだろうけれど、自分の気持ちの持ち様が何かで、そう感じる。