内実コンブリオ
『大丈夫。同じように悩んでくれてたんやし、気持ちこっちからもぶつけたら、わかってくれるよ。多分』
自分の腕を掴んだままだった森緒ちゃんの手に、自分の手を重ねた。
そして、軽く握る。
そうして席から離れた自分は、浅くお辞儀を一度した。
そんな自分に森緒ちゃんは、諦めるように声をかけてきた。
「今日はありがとう。なんかごめんな。また何か奢らせて」
その表情は「弱ったな」と言っているようだった。
自分も幾度となく、森緒ちゃんに「参った」という顔を見せているはず。
これで、おあいこなのだと思いたい。
でも、森緒ちゃんの表情をいつまでも見つめていると、後ろ髪をひかれるような想いがしたため、早めにここを出ねば、と思った。
「そんなん気にしやんといてよ」
自分は胸の前で小さく手を振って、店を後にした。
さあ、駅を探そう。
相変わらずのガラパゴス携帯で、マップを開いた。