内実コンブリオ



自分はさっそく駅を見つけ、既に電車に揺られていた。

いつもなら電車に揺られれば、自然と眠くなる。

でも、今日はどうしてか目が、頭が冴え渡っていた。

そんな頭で考えたのは。



「そういえば、昼ご飯まだ食べてない…」



クリスマスと世間では言えど、平日の祝日。

午後1時前の普通電車には、さほど人は居なかった。

車窓に流れる風景を眺めていると、不意に茶色や黄土色が主張し始めた箇所があった。

何故かしら、そこで降りたくなる。

得体の知れない興味の向くまま、途中下車した。

駅の改札を抜けて、外に出ると、空腹には丁度良い匂いが鼻をかすめる。

匂いの先にある年季の入った看板には「たこ焼き」と書かれていた。

森緒ちゃんの彼氏さんの住む、閑静な住宅街を離れて約20分。

そんなところに、居心地の良い雰囲気の漂う場所があるとは、考えてもみなかった。

その場に立ち止まり、少しあたりを見渡した後、迷いなくたこ焼き屋さんへ行った。
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