内実コンブリオ

さっきまで喋りたくっていたカップルたちも話を止めて、こちらに目線を向けた。

顔が熱くなり、その場にもう一度静かに座る。

何故、何の意味もない見栄を、張ってしまったのだろう。

後々ながら、後悔をした。



「ああ、なるほど。これからなんか」



たこ焼きを転がすおじさんが、呟いた。

自分はさっきの動揺があってか、少し呆けていた。

それからしばらく待った後、隣のカップルと合わせて呼ばれた。

カップルの男女それぞれがたこ焼きの入った袋を受け取り、店を出ていくのを横目で見送った。



「はい。夕方から頑張れ。大きめのタコの入ったやつ、選んで入れといたからな」

「え、あ、ありがとうございます」

「うまいこと言ったら、ええなぁ」

「そっ、そんなんじゃ、本当にないんです」



そう言いながら、自分が袋を受け取ると、おじさんが苦笑いする。


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