内実コンブリオ
「お嬢さん。大人しそうな顔して、何かただらぬ事情でもあるんか?どっちにせよ、相手の子をそんなに嫌ったったらあかんで」
「え、は、はい…」
自分は戸惑いつつ、お礼を言って、お店を出た。
一つ向こうの駅まで歩いて行けば、良い時間つぶしにもなるかもしれないと思ったのだ。
とても親しみやすかったたこ焼き屋のおじさんに感激しながら、駅を離れ、しばらく歩いた。
また来たい、そんな気持ちに浸っていた。
しかし、ただ一つ引っかかっていたのは、最後に行ってくれたおじさんの言葉の意味。
『相手の子をそんなに嫌ったったらあかんで』
違う。
別に、栗山くんのことが嫌いなわけじゃない。
嫌いなわけじゃないのに。
過去に彼を知らずと傷付けたことだけが、辛くて。
でも、確かにそれだけじゃないのかもしれない。
ふと気が付いて、やっと足を止めた。
視線の先に、田園の風景があったからだ。