内実コンブリオ
やっぱり。少しの確信が確定された瞬間だった。
「…別れたの?」
自分は静かに、でも、空気を悪くしないことを心掛けて、静かに言った。
栗山くんは困ったように首を傾げ、また困ったように笑った。
そして、このタイミングでやって来た烏龍茶のグラスに触れると、また店員さんを呼び止める。
「あ!お姉さん。熱燗、よろしく」
お姉さんも大変だ。
こんな風に何度として、注文を承って。
と、思う傍から自分も手を挙げる。
「あの、すみません。明太子入りだし巻き卵も」
「はい。かしこまりましたぁ」
申し訳ないと心のどこかで思いつつ、自分もつい頼んでしまった。
何だかドキドキしていた。
「やっぱりさー」
栗山くんの声に反応して、そちらを向く。
栗山くんは、やって来た烏龍茶を啜る様に、口に含んでいた。