内実コンブリオ
栗山くんの烏龍茶が喉を通ったことを、自分が目で確認していると、ようやく彼は口を開く。
「そういう話は、なかなか素面ではしにくいな、って。」
「あ、なんか、空気読めなくて、ごめんなさい…」
「いやいや、違うって。なんか相手が相手だから…華さんだからさ」
栗山くんは頬杖をつくと「熱燗来るまで、待ってー」と言って笑っていた。
そして、そのあとは、鼻で息を整えているように見えた。
ちょっと酔うための道具が来るまでの、空白になりそうな時間を、栗山くんが話題を続けて埋める。
「華さんは?中学の誰かと会ったりとかは?」
「あ、あるよ」
言うべきなのだろうか。
このことについて、今まで口に出して相談したのは、角野先輩だけだ。
でも、角野先輩は実物のあいつを知ってはいない。
そして、栗山くんには言うことを、少し躊躇した。
だって、栗山くんとあいつは、友達同士だったのだから。