内実コンブリオ
『お前は一体、俺の何を知ってんだよ…』
低く、静かに怒りを見せながら、言った。
栗山くんは、小学生のはじめから地域の少年団に所属していたらしい。
その頃から、毎日のように筋トレに素振りや父親とのキャッチボール、参考書を読むなどして、ノルマをこなした。
しかも、それは当然、中学に入学した後も、一日として怠ったことはなかった。
それだけして積んできたものを「元々あるものだ」と言われたのだ。
腹が立つのも、よくわかる気がする。
しかし、それらの努力を人前で堂々としていたわけでもない。
ましてや、水川とは中学からの縁であった。
そんなこと、知らなくて当たり前だろう。
栗山くんは水川に先程、静かに怒りを見せた自身を抑えるように、深呼吸をした。
『お前だって毎日、夢中で、必死で練習にかじりついてたじゃねぇかよ。そんな呆気なく諦めんのかよ。情けねぇな…
自分の可能性、自分で潰してんじゃねぇよ!』
全てを叫び切った後、肩が上下する程に息を切らす、栗山くんを見て、水川はしばらく唖然としていた。