内実コンブリオ
水川は、しばらく栗山くんを見つめていたそうだ。
そして、しばらくの間が空いた後、水川はこう言ったらしい。
『くくっ。そんなみっともねぇ栗山、初めて見た!いや、あれ以来か!』
そんな風に言われた栗山くんは、良い気分ではしなかったものの、相変わらず、腹を抱えて笑い続ける奴を小突いた。
『うるせぇ。言っとくが、今後またお前に何かあっても、もう二度とお前のこと、引き留めたりしねぇからな』
『何が言いたいんだよ』
『悪いけど、もうお前のコマは抜けさせてくれ。お前のことは…もう、どうだっていい』
『ふん。俺だって、最初っから栗山のことは、どうでもよかったわ。お前、意外と思うように動かねぇしな』
『水川は水川で、もう好きにやっとけよ。俺まで巻き込むんじゃねぇ』
『じゃあ、栗山とは縁切りだな』
『いや、待て。絡むのは、構わねぇぞ』
『何だ、それ。相変わらず女々しいな、お前は』
水川は笑いながら、そんなことを言った。