内実コンブリオ



色濃く長いクリスマス・イヴも、ようやく終わろうとしている。

たった今は、既にお店を出た後で、駅前の商店街を少しぶらつき、会話をしていた。

先程、居酒屋内で、だし巻き玉子を食べた後は、本当に他愛もない話をした。

最近の「イシダ ミカン」という女優の活躍ぶりがどうだとか、自分の愛犬の話だとか。

それだけでも、十分に盛り上がっていた。

そして「結菜ちゃん」のことについては、ついにしなかった。

結局、栗山くんが熱燗を注文した意味は、何だったのか。

その意味はきっと「はぐらかした」

栗山くんは、言葉にはしてくれなかったけど、きっと結菜ちゃんのことには、触れたくなかったのかもしれない。

それを自分は、無神経に聞き出そうとなんてしたのだ。

栗山くんにとっては、もう過去の、過ぎたことでしかないのに。

何と勝手なことを言っても、全ては自分の予測でしかない。
< 329 / 393 >

この作品をシェア

pagetop