内実コンブリオ



栗山くんと居酒屋で、クリスマスらしくないクリスマスを過ごしてから、また数日が経過した。

また賑やかな場所に、自分は居た。

ある個室に、社員さんが15人ほど、収まっている。

そこで自分は、普段より少し声を張った。



「本日の業務もお疲れ様でした。今日は今年1年を労い、楽しみましょう。えっと…グラスをお持ちください」



社員さん各々がグラスを持ち上げ、待機している。

この空間に居る人たちが、自分の声に従っていただいていると思うと、何故かしら冷や汗をかいた。



「で、では、乾杯っ…!」

『かんぱーい!』



忘年会の幹事なんて、馴れないことを冷や汗垂らしながらしているのには、理由がある。

いつも企画してくださる方が、産休に入ってしまったのだ。

少し前に急遽、予約や準備、司会を頼まれてしまい、今に至る。

せっかくなので、体が大丈夫そうであれば、とその方にも来ていただいた。

吃る自分を見て、微笑む彼女に恥ずかしくなって、苦笑いを返した後、目が合わせられない。

ああ、慣れないことはするもんなんかじゃない。

自分は、多めの一口を流し入れ、汗ばんだ額を手の甲で拭う。
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