まりあ様のおみちびき~秘密の妹は農家の天使⁉~

第2幕・迷宮《ラビリンス》に挑みし理由《わけ》【訳・厨二病少女が田舎に引っ越した経緯】

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第2幕・迷宮《ラビリンス》に挑みし理由《わけ》【訳・厨二病少女が田舎に引っ越した経緯】

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「ありがとうございましたー」
 白き衣《ころも》纏いし天使《ナース》我を嘲笑いし。
【ナースが私をみて苦笑いしている】
 其処白き室《へや》なり。
【そこは病院だった】

 我孤独《ひとり》古城へと帰る。
【私はひとり家に帰った。アパートの二階に】
 俯き伽藍堂《がらんどう》な魂。 
【薬の量が増えてしまった。ショックだ】

 我の名、黒き森の花曲なり。
【私の名前は黒森花音】
 齢16の処女《をとめ》なり。
【16歳の女の子です】
 然し學生にあらざる。
【しかし、高校には行っていない】

 学舎《まなびや》遠く。
【高校には行かなかった】
 現在《いま》は百の星屑纏いし深奥《しんおう》にて眠れる日々。
【今は100均の工場で在庫整理をしている】
 我古城に帰りし、「供物」の祭典を喰《は》む。
【家に帰った私は、早速野菜炒めを作った】
 翡翠色の供物と紅き供物、うすみどりの葉。
【ピーマン、にんじん、キャベツ…】
 「供物」の祭典の徒然草《つれづれぐさ》
【毎日、野菜炒めの日々だ】

 閉ざされし扉から悲鳴が。
【すると、アパートの扉から怒鳴り声が】
「黒森さん、黒森さんはいませんか⁉」
 其の獣《けだもの》のごときこゑに怯える。
【そのドスの効いた声は男のものである】
 我畏怖しつつ解き放ち扉。
【私は恐る恐る扉を開いた】
「あ、黒森さんですか」
 其の男異形の者なり。
【どうみてもヤの付く職業の人だった】

 我は密室の創造主なり。
【私は扉を閉ざした】
「待って、待って」
其の異形の者名乗る。
「伊藤探偵事務所の伊藤顕示《いとう・けんじ》です。実は遺産相続の件でお話が…」
「我親類おらず孤独《ひとり》なり【私に他に家族はいません】」
「実は、そうではなかったんです。あなたにはおばあさんがいたんです!そして血の繋がったお兄さんもまだ生きてます!」
 何故だ。それは偽りか。
【なんだと、それは新手の詐欺か⁉】
「この写真をみてください‼」
 異形の者写真を取り出す。
【やくざが写真を取り出した】
 其処に映りしは赤ん坊の我抱きし魔女、そしてふたつばかりの少年《こども》なり。
【そこには赤ん坊の頃の私を抱いた老女と、二歳くらいの少年が映っていた】
「此れ加工なりや⁉【これは合成写真ですか?】」
「疑うなら、いまから区役所にいきましょう」
 彼の異形の者はいう。
【ヤクザはいう】

 こうして、我は大地の後継者となり、翡翠色の迷宮《ラビリンス》に来たり。
【こうして、私は田舎「蔓紅村」にきた。土地を相続し、血の繋がった兄に会う為に……】

だが…。

「我さ迷えし詩人【さっそくまよった】」

 刻《とき》はとうに黄昏なり。【時刻はとっくに夕方。はたしてどうなるのやら…?】


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