まりあ様のおみちびき~秘密の妹は農家の天使⁉~

第4幕・満たされぬ希望【訳・おなか空いた】

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第4幕・満たされぬ希望【訳・おなか空いた】

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 我驚きし。
「どうかなさいましたか?」
 黒森さん《兄》云う。
「いや、あの、その……」
 我狼狽《ろうばい》せし。

 ぐー

 腹の蟲鳴りし。【お昼から何も食べてなかった】
「あ、これどうぞ」
 黒森さん、袋に手を入れる。
 其の紅き供物《トマト》、渡す。
「洗ってありますよ」
「…うむ」
 我、頂く。
 皮のまま。

 おお‼

 おお‼

「…美味」

 我、驚きし。
 顔紅くなりて。
「……あ」
「……どうかしましたか」
 我訊く。
 黒森さんも顔紅くし
「いや、あなたの笑顔があまりに嬉しかったので……」
 ふむ。
「まあとりあえず、うちにどうぞ。ガブリエル様」
「う、うむ」
 元々其方に行く予定であったし、まあ善しとするか。

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「くうんくうん」

 何故か犬《サモエド》付いてきし。
 買ってきた食事《ペットフード》頂く。
「待ってて。すきやき作るから」
 黒森さん云うので、我犬と共に待ちし。

 何故か天使《ガブリエル》ということになってしまった……。
 早く名乗らねば……。

「はい、すきやきできたよ」
 黒森さん食事、机の上《へ》に用意する。
「…いと高き「魔性」に供物を‼」
「主に栄光あれ。アーメン」
 頂く。
「…美味!美味!」
「はは」
 その供物の祭典《すきやき》美味なり。
「特に肉類美味」
「はは。実はそれ大豆なんだよ」
 なに?
 驚く我。
「近所の人から貰ったんだ」
「……う」

 其の大豆肉、肉食べれぬ弟も食べれたろうか…。

 我考える。

 弟、奏病弱故に肉食べれず。齢10で他界せし。
 我、それから孤独《ひとり》になりし。言の葉失いし。【失語症になり】

 其の一ヶ月後、弟好みし動画《アニメ》の悪役声優・鈴木美佐子自殺す。
 我飛び降り現場弔いに行き、花手向けた。

『いと高き「魔性」に供物を‼』
『いと高き「魔性」に供物を‼』
『いと高き「魔性」に供物を‼』
『いと高き「魔性」に供物を‼』

 周囲《まわり》、ファン叫びしこゑ。
 其の刻《とき》、魂煮え立つ。

 我天を左手で指さし、右手で腕を組む。【悪役のポーズをした】

『いと高き「魔性」に供物を‼』

 齢14の我、夕日に当たる自殺現場《ビル》背景に厨二病目覚めた。【一年ぶりに喋れた】

 我、それ以来厨二用語しか喋れず。
 學校でも苛められ不登校。
 然し開き直って漆黒の華《ゴシックロリータ》。

「いと高き「魔性」に供物を!【ごちそうさま】」
「アーメン」

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 翌朝。
 あまり眠れず。【兄とはいえ、男の人が一緒なので寝にくかった。幸い、何もなかったけど】
「よし、畑の草むしり行かないと」
「うむ」
 我ら畑行く。
「…おお」

 草。
 草。
 草。

 雑草の群れ。
「よいしょっと」
 ふたりで草むしりし。
「おやまあ、昨日のちんどん屋さん」
 すると、昨日の老婆来たりし。
「違いますよ!彼女は天使ガブリエル様です」
 黒森さん、恥ずかしいこという。
「そうなのか?」

「ええ…そうよ、私は天使よ」

「あれ?ガブリエル様、天界の言葉じゃない…」
 黒森さん、気づく。
「あれ?」
 我、言い直すが、「我天使なり!」としかならない。
「気のせいかな?」
 黒森さんと我思う。

 こうして、我田舎で暮らしたり。
【こうして、私は田舎で暮らすことになりました】
 我、天使なり。
【天使・ガブリエルとして……】
 その未来《さき》は何処《いずこ》?


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