気高き国王の過保護な愛執
クラウスは、ルビオの隣にひざをつき、一緒に穴の中を眺めた。
「そうすると、おふたりがここを選んだ意味がわかります。彼らは王妃の思い通りにはなるまいと、ここへ隠れた。自分たちを蝕む毒が、王妃の企みであると気づいていた」
ルビオはなにも言わない。
「あなたではないと知っていた」
忠臣の右腕が、王の背中に添えられ、親しい友人がするように、肩を力強く抱いた。ルビオは無言で、揺さぶられるままになっている。
「恐れていたのではないですか。彼らがあなたを恨んで逝ったのではないかと」
「おれは身勝手だ」
「私はあなたの、そういう人間らしさが好きですよ」
フレデリカは、床に置かれた聖書を取り上げた。奇跡のように、ほとんどそのまま残っている。
「すべてを正しましょう、陛下」
クラウスの言葉に、ルビオがうなずいた。
* * *
王都の半円形の中央部分、王城に向かう橋の手前に広場がある。
そこには階段とバルコニーがあるだけの、石造りの高い塔がある。使われていないときは開放され、子供たちが遊んだり、周囲でマーケットが開かれたりする。
今ではそこは封鎖され、本来の用途に向けた準備が行われていた。
「『血まみれ王を追放せよ』『王座を奪還せよ』。血の気が多いわねえ。兄さまを追放して、誰が代わりをすれば満足なのかしら。言うのは簡単だけど、無責任ね」
「真実が明るみに出れば、いわれのない誹謗も終わるでしょう」
「どうだか。どうせこの世論もあの色ボケ王妃が操ってるんでしょ。血まみれが終われば、べつのなにかを持ってくるだけかもしれないわよ」
イレーネの口の悪さをたしなめようとしたが、フレデリカはたしかにそうかもしれないと納得してしまい、ため息をひとつついただけに終わった。
「そうすると、おふたりがここを選んだ意味がわかります。彼らは王妃の思い通りにはなるまいと、ここへ隠れた。自分たちを蝕む毒が、王妃の企みであると気づいていた」
ルビオはなにも言わない。
「あなたではないと知っていた」
忠臣の右腕が、王の背中に添えられ、親しい友人がするように、肩を力強く抱いた。ルビオは無言で、揺さぶられるままになっている。
「恐れていたのではないですか。彼らがあなたを恨んで逝ったのではないかと」
「おれは身勝手だ」
「私はあなたの、そういう人間らしさが好きですよ」
フレデリカは、床に置かれた聖書を取り上げた。奇跡のように、ほとんどそのまま残っている。
「すべてを正しましょう、陛下」
クラウスの言葉に、ルビオがうなずいた。
* * *
王都の半円形の中央部分、王城に向かう橋の手前に広場がある。
そこには階段とバルコニーがあるだけの、石造りの高い塔がある。使われていないときは開放され、子供たちが遊んだり、周囲でマーケットが開かれたりする。
今ではそこは封鎖され、本来の用途に向けた準備が行われていた。
「『血まみれ王を追放せよ』『王座を奪還せよ』。血の気が多いわねえ。兄さまを追放して、誰が代わりをすれば満足なのかしら。言うのは簡単だけど、無責任ね」
「真実が明るみに出れば、いわれのない誹謗も終わるでしょう」
「どうだか。どうせこの世論もあの色ボケ王妃が操ってるんでしょ。血まみれが終われば、べつのなにかを持ってくるだけかもしれないわよ」
イレーネの口の悪さをたしなめようとしたが、フレデリカはたしかにそうかもしれないと納得してしまい、ため息をひとつついただけに終わった。