私の手の行方
私の手の行方
私の手は、次は誰に繋いでもらえるのか。

いつからだろう、
私の手を求められなくなったのは。

子供の頃は、祖母、父、母、兄
はぐれない様に、繋いでくれた。

恋人もいない今、私の手は
需要なし。


この頃思う。
大人の方が、迷子じゃないかと。

自分が何をしたくてここに居るのか。
気がついたら、自分見失ってる。

そんな毎日に疑問を持ち、抗ったり
もう一回自分の人生設計立て直してみたり
しなくなった。
ただ、起きて、ご飯食べて、仕事して、寝る、その繰り返し。

スクランブル交差点の
反対側にいる人の群れが、遅寄せる波に見える。

肩がぶつかり、足を踏まれても
信号が赤になるまで、向こう岸にまで
たどり着かないといけない。一人で。
車に轢かれる。

手を繋いで歩いるカップル。
一瞬手が離れたとしても、
すぐにくっつく。
まるで磁石の様に。

それが、羨ましいのか何なのか
自分でもわからなくて、
面倒臭い私。枯れきってる私。

物思いに耽っても、どうしたいの
かわからないまま、また歳を重ねる。

友人が一人、また一人
結婚して行く。

彼女たちの手は、
ご主人のため、子供のために存在が続く。

社会人数年目の秋。
私は一人、家に帰る。

< 1 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop