元ヴァイオリン王子の御曹司と同居することになりました
それらを隠すように冷凍庫を開けた。

「あの、私がいない間なんですが、よかったら、ここに冷凍ご飯入ってますので。こっちはカレーです。途中で何度かかき混ぜながら温めてください。これは味噌と出汁と具を丸めてあるので、お椀に入れて熱湯を注げばお味噌汁ができます。もしよかったらなので、別に召し上がらなくても全然構いませんから」

「すごいですね」

わっ。
出海君はいつの間にか私の隣で冷凍庫を覗き込んでいる。

「いただきますよ。ありがとうございます」

満面の笑みを向けられる。

……あ、やばい。

私は慌てて冷凍庫を閉め、冷蔵庫を開けた。

「冷蔵庫の納豆とかお豆腐とかキムチとかめかぶとかお好きにどうぞ。デザートも、ヨーグルトとかクリームチーズとか果物とか、ご自由に召し上がってください」

「ありがとうございます。やっぱり希奈さんに来ていただいてよかった」

……ちょっともう。

……こっちは、やっぱり出海君は世間知らずだと思ってるよ。
軽々しく女を家に入れるものじゃないよ。
優しくして、無防備な笑顔を向けるとか、時には残酷なものなんだよ?



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