華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

ナディは首を横に振る。


「王子の手の温もりを直接感じられただけで、もう十分です。それだけで私の心は満たされました。これで思い残すことはなにもありません、あとは私が仕出かした罪を償うだけ」

「ナディ……」

「ソフィア様は、どうなされておりますか?」

「……ソフィアは」

"まだ目覚めない"、とその一言を口に出すのがとても辛かった。

ナディはそれを聞くなり、また大粒の涙を零す。

「ああ、ソフィア様!!私のせいでとても苦しんでいる……!どうして私はのうのうと生きているの!?ソフィア様が助かるのなら、私の命はどうなってもいい、……だからどうか神様!!」


ナディは天を仰ぎ、そう叫ぶ。

その姿を見て、俺の心は息ができなくなるほどに締めつけられた。


ナディの叫びは、俺の思いと同じだった。

私のせいでソフィアは苦しんだ。
ソフィアが助かるのなら、俺はどうなっても構わない。


でももし神が本当にいるのなら、どうかソフィアを助けて欲しい。

そのためだったら、俺は――……。



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