華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
私の言葉に、王子はそれはもう大層な怒りを含ませ、腰にぶら下げてある剣の柄に手を掛け、鋭い刃を私に向けるのだろうと予想した。
しかしその予想とは反して、目の前の殿下は、それはもう目を丸くして私を見つめていて。
その瞳の大きさに逆に驚くくらいだった。
「……そうか」
眉間に皺を寄せ、静かにそう呟く。
そしてまた、それ以上なにも言わずにその場から去っていった。
呆気に取られて、私はその場で立ち尽くす。
……なんなの、一体。
頭にきているんじゃないの?
本当に意味がわからない。
帰るときやっぱり不機嫌でその場からいなくなるものだから、内心は煮えくり返る思いでいるのだろう。
お陰で見張りの騎士までもが機嫌が悪くなってしまって本当に困る。
「お前のせいで私の首まではねられたらどうするんだ!?ふざけるのも大概にしろよ!?」
王子の姿が見えなくなってから、騎士は私をそう怒鳴りつけた。