華麗なる国王の囚われ花嫁～若き絶対君主の一途な愛～

……やはりと言うべきか、案の定、次の日も王子はやってきた。

流石に毎日来られるとうんざりしてしまう。
王子に対する一礼も、だんだんおざなりになってしまっていた。



しかし珍しく目の前の王子の表情は、不機嫌なものではではなかった。

かといってにこやかに笑っているわけじゃないが、いつもの怒りのオーラは感じられない。

その変化に、私は逆に身構えてしまう。


「……今日は眠れたのか？」

「ええ、いつも通りでした」


けれど、王子の発する言葉はいつもと変わらなかった。

表情は少し柔らかくとも、その声のトーンはいつも通りの冷たいもの。


私はその問いに、正直に返した。


その言葉を聞いた殿下は一際大きなため息を付き、そして呆れたような表情を浮かべる。

いいかげん聞き飽きたのだろう。


同じ問いに、同じ返し。

死への恐怖を口にする私を望んでいる王子からしたら、相当つまらないに違いない。


……まあ、無理もない。

もう少しで処刑される人間が、呑気に寝てるなんて聞いたこともないでしょうし。

泣きわめいて、やつれて、懇願するのが本来のあるべき姿なのだろうが。