華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~
「……あの」
「なんだ」
「毎日ここに来て、同じ質問をされても、返す言葉は一緒です。たぶん処刑の前日まで変わらないと思います」
私は死ぬその瞬間まで、その気持ちは変わらないと思う。
覚悟しているっていうのもあるけど、もう自分の運命がそう決められているんだって、どこかで悟っているから。
あの国で、あの両親に生まれたときに既に決められていた、運命。
その運命に逆らえるわけが、ない。
「……お前は」
「え?」
「お前は、死ぬのが怖くないのか?」
髪に隠れていた銀色の瞳が、髪の合間から見える。
左右、色の違う瞳が私をしっかりと見据えていた。
その瞳にドキリとしてしまうが、すぐ気を取り直す。
「怖い……、ですか。別に、国がなくなった時点で私も死んだようなものですから。むしろその前から私の国は父のせいで危機的な状況にあって、それでも国のためになにもできなかった無力な私など、生きていても仕方がないでしょう?」
私もしっかりと殿下の顔を見据えて、言葉を返した。