華麗なる国王の囚われ花嫁~若き絶対君主の一途な愛~

エリスは優しい笑顔を向けてそう話すが、その笑顔が逆に怖く感じた。

そもそも、なぜ王子を"アレク"と呼び、私に聞いたのか。
公の場では王子と呼び慣れているだろうし、そのくらいの区別は分かっているはず。

しかも細かく行動を読み取れるだけの能力のある人間、そんな些細なことを間違えるはずがない。


わざと私の前で、王子の名を言った。



――それは、なんのためか。



「抵抗せず身を委ねるの、ソフィア様。彼は優しくあなたを抱いてくれるはず。怖い思いなんてさせないわ。……そう、私も初めはそうだったもの」




その言葉に、私は思わず席を立つ。

エリスは白磁のように滑らかな白く細い指で、自身の唇を弄りながら見上げていた。


そこに現れている表情は、これまでの柔らかな笑みではない。
勝ち誇ったような、私を見下すような、そんな笑顔。


ドクン、と心臓が激しく打ち、自分の感情を昂らせる。


しかし、ここでそれを吐き出してしまうのは負けだと思った。

なるべく感情を抑えつつ、言葉を選んで返す。


「ご心配に及びませんわ。私、王子と仲良くするつもりは毛頭ございませんの。そのような助言は不快なだけ、ご遠慮して頂けません?」

「あら、ごめんなさい。これまでの経緯で異性に対し、偏見と恐怖がおありになっていらっしゃると思いまして。王子の威厳もありますし、少し助言をと思ったのだけれど、余計なお世話でしたようね」


「……失礼致しますわ。これ以上あなたとはお話することはありません」

「またお話しましょう、ソフィア様。それでは、ごきげんよう」

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