あべこべの世界
 もう今この瞬間から痩せるまでいっさい食べ物は口にせず、ひたすらくびれたウエストときゅっと上がったヒップのためのエクササイズを毎日やり、バストアップ専用のクリームを買ってマッサージを毎晩30分やる自分を想像した。

 そうしたら何日ぐらいで直美のような体になれるだろうか?

「さて、そろそろ行こっか?」

 直美がいきなり席を立つ。

 私は慌ててタバコを灰皿に押しつけたため、「熱っ」今度は私が指先を火傷した。

 直美は「タバコやめたら?」とだけ言ってさっさとレジの方へ行ってしまった。




 直美の彼氏、健二はいわゆる平成イケメン顔の持ち主。

 直美を迎えにきた時に何度か見たことはあるが一度も話をしたことはない。

 シュッとした切れ長な一重の鋭い目は同じ一重でも孝志のいつも笑っているような垂れ目の一重とはまったく違う。

 健二はわたしにはまったく興味がないのだろう、その目が私を捕らえることは一度もなかった。

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