あべこべの世界
目覚めた朝はいつもとなにも変わらなかった。

 セットしたアラームの前にいつも起きてしまうことも、起きてすぐにトイレにいきコンタクトをつけ、次にテレビを見ながらベットメイキングをし、顔を洗い服を着がえる。

 毎朝、仕事に出かけるまでの私の行動は決まっている。儀式のように同じ順序で支度を進ませる。

 今朝もそうだ。

 なにも変らなかった。
 
 家を出ると、マンションのゴミ置き場で朝子さんとばったり会った。

「お!敏ちゃん、いってら。昨日はありがとう!」

 朝より爽やかな朝子さんの笑顔もいつもと変わりなかった。

 歩いて十分ほどの駅へと向かう。

 出勤時間帯の朝はほとんどの人が同じ方向に向かっている。

 わたしはいつもと同じように少し早足になる。

 別に遅刻しそうなのではないが、朝の出勤時はなんとなくそうなる。

 毎朝見かける顔ぶれも同じで、いつも同じ人と同じ場所ですれ違う。

 みんな朝の儀式通りに今朝も動いているのだ。
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